2011/02/21

夢番地

「僕はきっと今 いつかの夢の上に立っているんだね
 僕はきっと今 誰かの夢の上に立っている」

「誰かがきっと今 僕にとっての夢をかなえてくれている
 僕もきっと 誰かにとっての夢をかなえている」

RADWIMPS ,「夢番地」


そうだなぁ。と、思う夜。

それならば。と、思う夜。

2011/02/20

冬の日の設計



こちらにきてから、ちょうど6ヶ月が経ちました。留学生活も、これで半分を終えたことになります。もう半分。まだ半分。ここら辺でもう一度これまで振り返って、気を引きしめて、頑張りたいと思います。

さて、たまには授業のことを。今学期も前回に引き続き、同じ木造スタジオを取ることにしました。

今回の課題は"Rainy Day Shelter" 。

ヘルシンキ市内のとある幼稚園の庭に、外で遊べない雨の日の遊び場となるような場所を新しく設計するというものです。

前回と違って周りに元々の園舎や古い建物も残っているので、それらとの関係も重要になってきます。



現在の敷地の様子。


うーん…雪で地面の状態が全く見えない(笑)岩の位置とか高低差とか調べたいけど…残念。加えて敷地の調査をしたくても寒くて長くは外にいられず。。最近は−20℃を下回ることも少なくありません。(そんな中入るサウナは格別だけど!)

気温的にはまだ冬ですが、日が登っている時間は段々と確実に長くなってきていて、最近は17時くらいまで明るいです。


現在悩み中。。

ふぅ。

さぁ、やろう。

2011/02/15

冬のミュールマキ教会


Myyrmaki Church, Juha Leiviska, 1980-1984


先日晴れたので、ミュールマキ教会に行ってきました。最近のフィンランドは晴れの日が多く青空と太陽が見られて嬉しいです。まぁその分、とても寒いのですが。。。(曇りより晴れの方が寒いという放射冷却というやつです。今日は-20度でした!)

ここミュールマキ教会は、8月にフィンランドに来てから間もなく、最初に見に行った思い出の建築。
ぜひ冬の表情も見てみたいと思い、行ってきました。

実際夏の頃と比べて外観はもちろん、中の光の感じも違っていたので、ぜひ比べてお楽しみください。(夏の写真


駅の真ん前という立地。



夏の頃はシラカバの葉が茂っていたっけ。











夏と比べて色合い、表情共にやわらかい雰囲気でした。

ふと思ったけど、太陽の光の色が高度が低くなっていくにつれて黄色っぽく、夕日に至っては赤にまでなってしまうのってなんでなん?

それと夏に行ったときの記事を見返して思ったけど、まだ午前中の光を見てないな…
この教会の窓の位置と方向から察するに、光の表情は午前と午後で全く違うはずなのです!

どうやらこの教会には、まだまだ通わなければいけないみたいです。

2011/02/11

ロヴァニエミの図書館

Rovaniemin Kirjasto, Alvar Aalto, 1966

ここロヴァニエミは、その街のほとんどが第二次世界大戦時に破壊されてしまい、その後アアルトの計画に基づいて再度作られた街でもあります。そのためアアルトの設計した建物がいくつかあり、この図書館もそのひとつ。


この図書館でとても感じ入ってしまったのは、入り口から最後にたどり着く本棚までへの、空間の連続のさせ方。変化に満ちていて、中を歩いていて飽きることがないのです。


これは、外観です。一面雪景色のなか、ほぼ真っ白です。


入り口。



細い通路を通って閲覧室に向かいます。天井に並んでいる楕円形の穴はトップライトです。



トップライトを見上げる。



そして閲覧室に入ります。

閲覧室に入ると、空間は一気に横に広がります。本棚が壁に沿ってずらっと並んでいるの見え、奥の方にはなにやら光が上から落ちてきているのが見えます。左に見えるのは貸し出しカウンターで、本棚はここを中心に扇形に広がっているため、閲覧室に入るとこの図書館にある本棚がほとんど全部一望できます。

ごく自然に目は光の落ちる方へと向き、吸い寄せられていきます。





これは反対側からの眺め。



そして、本を探す人の多くはこの空間にたどり着くことになります。上に開けられた窓から入った光が、カーブした白い壁を伝って落ちてきています。奥に見える光はこれだったのか。

ここに至るまでの天井が比較的低く抑えられているために、ここでの上への広がりはとても驚きに満ちた新鮮なものに感じられました。

他にも道が細くなっていたり、くねくね曲がっていたりいろんな変化があって、歩いていて飽きることがないのです。なんだか本を探して探検しているような気分。



本棚の後ろには台があり、気になった本などをその場で広げて読めるようになっています。こういう気配りが、とてもいい。



探し当てた本をじっくり読みたいときは、階段を下りて本棚に包まれた空間へ。椅子や机、照明もアアルトがデザインしたものです。






図書館で本を探すのは、宝探しに似たワクワク感があると思います。無数にある本の中から、自分だけの本を探し当てる楽しみ。思いがけなくよい本に出会ったりした時など、自分だけの宝物を探し当てたような、なんとも嬉しい気持ちになりますよね。

一目で全体を把握できるわかりやすさと、探検しているようなワクワク感。相容れないように見えるこの2つを、見事に実現している図書館でした。


最後に、他の本関係のアアルト建築を…。

国民年金会館図書館, Alvar Aalto, 1953-56, Helsinki

周りを囲った親密な性格の空間は、アアルトの他の作品でも多く見ることができます。アアルトは「囲う」ことに強いこだわりがあったみたいです。




アカデミア書店, Elissa & Alvar Aalto, 1969, Helsinki

2011/02/08

犬ぞり小旅行

フィンランドの北極圏の入り口、ロヴァニエミに行ってきました。
ロヴァニエミは北緯68度あり、サンタがいる街としても有名です。運がよければオーロラも見ることができます。

オーロラは今回残念ながら雲が多くて見られませんでしたが、ここロヴァニエミにはそれに負けないくらい魅力的なアクティビティがたくさんあります。



そのひとつが犬ぞりです!!


他にトナカイぞりなどもあって迷ったのですが、そりを牽く犬たちの姿、そのかわいさが決定的で、犬ぞりを選びました(笑)

そんなわけで午前8時半出発、いざ犬たちのもとへ。



そりを牽くのは、シベリアン・ハスキー。こいつはやさしい目をしていた…
シベリアンハスキーはとても友好的で誠実な犬種で、寒さにも強く、その力強い体は自分の体重と同じの重さの荷物を引くことができるそうです。かわいくもキリッと、力強いやつらなのです。今回は6匹で二人乗りのそりをひいてくれます。



そりに乗り、出発前。

出発前は犬たちも相当気合いが入るらしく、ワンワンと吠えまくってました。大合唱。
ワンワン!!ワンワワンワン!ゥゥワンワンワンワン!!
まるで「早く走らせろこんにゃろう!!」とでも言っているかのよう。



…そんな中、うちのそりの犬たちは静かにすわったまま。。。君たち、なんだか元気がないけど大丈夫?そして手前右のお前は、ぷるぷる震えているけど…寒いのか?



いざ出発!!



走り出すと、うちのそりの犬たちもちゃんと走ってくれました。

そりは全力疾走するとけっこうスピードがでます。犬の後ろ足が跳ね上がっている様子なんかで、そのスピード感が伝わるといいのですが…

ちなみにこの日の気温は−20度近く。けっこうなスピードで走るそりの上で風をうけていると、顔が痛くなってきます。犬よ、おまえ達は寒くないのか?慣れっこなのか?毎日そりを牽いているんだもんな。すごいなー。



たまに休憩をします。左の犬は休憩の度に雪に体をうずめようとしていました。
走ると暑いのかも?



休憩時は犬たちの姿を存分に見るチャンス。後ろの犬にカメラを向けましたが、なかなかこっちを向いてくれません。そのかわいい顔をこっちに向けておくれ。



なんだかあったかそうな横顔






「さぁさぁ出発しますよ。写真なんて撮ってる場合じゃありませんよ。」



空もこの時だけはきれいに晴れてくれた。



林の中を1時間くらい走って、帰ってきました。




小屋の中で暖を取り


最後に少しだけ犬たちに触ってきました。

こいつはこのハスキーファームの中でも一番強く、いい仕事をする犬の一匹だそうです。
りりしいプロの顔…。そしてとてもきれいな目をしている。シベリアンハスキーの目の色には茶色や青や黒、いろんな色がありますが、大人になると半分以上がこのような灰色の目になるそうです。

一仕事終えた犬たちは、この後ご飯だそう。たくさん食べてくれ。ありがとう。



おつかれさま。

2011/02/02

風の話

Aswan

アスワンはナイル川の上流にある街。エジプトの南の方にあって、この時期でも上着を着ているとけっこう暑かった。

上の写真は泊まったホテルの屋上から。ヨットみたいな船が川の上にいくつも浮かんでいるのが見えます。フルーカと呼ばれる船です。

その日は観光に行く予定もなくあとは寝るだけ、時間も余っていたので、フルーカに乗ってみることにしました。

そして今回の旅行の中でも自分にとっては1・2を争う印象的な時間を、このフルーカの上で過ごすことができました。



といっても、その上で特別なイベントがあったわけではなく、フルーカに乗って川をゆらゆらしていただけなのですが、これがなんとも気持ちいいのです。



これは、風を受ける帆。
帆の方向を変えて風を受ける量を調節して、スピードを緩めたり速めたりします。風に対して直角に帆を張れば、ほんの少しの風でも船は進みます。ちょっと強い風が吹いてくると、ドンドン進みます。

モーターボートばっかり乗って知らなかった、風だけで船ってこんなに速く進むんだ!と思いました。



風で走るので音はほとんどありません。
目を閉じると船に当たる波の音と、船のゆれる音だけが聞こえます。

風と、水の音。それだけで、なんて気持ちいい。



冬の寒いフィンランドでは忘れかけていた感覚でした。


* * * * *

風関係の話。

フルーカに乗っていたとき、日本で半年前まで住んでいた自分のアパートの部屋のことを思い出していました。

その部屋の南側にはベランダに出るための大きなガラス戸があって、北側にある台所の窓も一緒に開けると、部屋の隅から隅まで気持ちのいい風が抜けるのです。

そしてそういう風にふかれていると、なんとなく気持ちも明るくなって、昔のいい思い出が思い浮かんだり、家にいるつもりだったのにどこかに出かけたい気分になったりするのです。

外に出かけて、いい気分になって帰って来ます。

そして、ふと思うのです。

はてさて、今日自分が楽しい気分になれたのは、
外に出ることを決めた自分のおかげかな?

それとも、この眺めがよくて、風の抜ける大きな窓のおかげかな?

* * *

アアルト自邸に行ったときも思いましたが、
家のある部分が、知らず知らずのうちに住む人を幸せにしていることってあると思うのです。

木の手摺の階段を、その感触を手に足に感じながら上ったり下りたりする。
窓からの気持ちいい風に吹かれながら、考え事をする。

そうやってるうちに、いい考えが浮かんだり、気持ちが明るくなったりするものです。

もしも家がたくさんのそういうもの達の集まりだったら、どんなに楽しいだろう!

直接的ではないにせよその毎日の積み重ねは、住む人の人生とか価値観をも変えていく強い力をきっと持っています。

僕は、建築の環境とはそういうものだと思います。

設計課題では、明快なコンセプトや独創的な形で人をあっと言わせるのもいいかもしれません。それもとても大事です。けれども、あたりまえで目立たない建築の部分、素直に人を幸せにすることができる部分のことも、もっとしっかり考えたい。と最近は思っています。