2010/10/31

夕空



ヴェネチアに行ったときのことを書こうと思ったのですが、きれいな空の写真があったので、空のことについて書きたくなりました。
写真はヴェネチアの空です。カモメが飛んでいて、海沿いに並ぶ建物が夕日にそまる景色はとてもきれいでした。フィンランドの空ともなんとなく違っていて、空にもお国柄があるんだなーと思いました笑。日本の空はどんなだっただろうか。


日本にいるときはあんまり見ていなかったのですが、こっちに来てからよく空を見たり写真に撮ったりするようになったと思います。昨日大学に向かうバスの中で、湾を渡る橋の上から見えた空は、それはもう圧倒的に綺麗でした。カメラを持っていなかったのでここに載せられないのが残念です。

太陽が地平線に沈むか沈まないかという時間、フィンランドの空は、なんとも言えない深い青色になります。水平線ぎりぎりのところにかすかに夕日の色が残っていて、そこから上に、スッとグラデーションで深い青に変わって広い空に広がっていました。高い建物もなく空は広く広く見えます。日没前後のこの時間、肌寒いのも相まって神秘的な空気に包まれる時間です。

この季節のフィンランドの太陽は高度が低く、地平線をなめるように沈んでいくので、そういう空の色になる時間が日本よりも長いらしいです。
ちなみに冬至の南中高度は東京約31度、ヘルシンキはなんと6.5度!!真冬になると、ちょっと顔を出してすぐに見えなくなってしまうのでしょうか。今よりもさらに太陽が恋しくなるのかな。最近は曇りが多いので、たまに晴れたとき、太陽ってこんなにやさしくかわいかったんだ!とか思います。

まあ何が言いたいかというと、こんなに色々表情を変える空を初めて体験中です。
綺麗で、静かに圧倒されます。

2010/10/30

定点観測


昨日そこにいて、今日ここにいる。



その繰り返しを日記に書きためていく。





日記を読み返して
その動きを定点観測する。

空はすごく広くて、ワクワクする。










森の墓地

10月末。Green Weekと呼ばれる建築学生に与えられる一週間の休み。
ストックホルムとヴェネチアに3日ずつ。水の都を巡ってきました。
ちょっとずつ振り返っていこうと思います。

まずはスウェーデン、ストックホルム。
とても印象に残った場所があったのでここに記しておきます。

"Skogskyrkogården" Erik Gunnar Asplund, Sigurd Lewerentz, 1914-1940

日本語だと「森の火葬場」「森の墓地」、ストックホルム郊外にある現役の共同墓地です。観光ガイドブックにはたぶんあまり載っていないのですが、世界遺産にもなっています。


この十字架。写真や友達のブログで何回も見ていたけど、ついに来たかーという感じです。


建築関係の本とかだと夏の写真がメインですが、今回は冬だったので薄く雪化粧。




その名の通り、森の中にお墓があります。


この時期、建物はすべて閉まっていました。残念です。。

確かにすばらしいランドスケープだったけど、それだけじゃない。。。なんと言うかこの場所には、また来なければならない。一回来ただけではこの場所は語れないような。

旅行に行っても大抵は一回で満足して、これから何回も来たいなと思う場所はなかなかありませんが、ここはそんな場所でした。死ぬまでに世界中にたくさんそういう場所ができていたらすてきだ、と思いました。

ちなみに来週、11月6日はAll Saint's Dayという死者を偲ぶ日であるらしく、森の墓地ではたくさんのろうそくが灯されたり、イベントが行われたり、全ての建物が開放されたりするらしいです。
この場所を体験するのにまたとない機会。行くか本当に迷っています。。

ストックホルム市立図書館、アスプルンド、1920-28

同じくアスプルンド設計の図書館にも行ってきました。円形のホールで本に囲まれる図書館。
アスプルンドの作品はまたいろいろと見てみたいです。

2010/10/21

先の先

来た頃からの日記を読み返してみた。

思うことは…まず毎日日記をつけるのは意味あるなということ。

そして、いろいろ目標書いてるけど、あんまり続いてないのが多いです。
何かやらなきゃと焦って、とりあえず立てた目標は弱いな。(単に自分が怠けものなだけなのももちろんのこと。)

逆に、考えて先まで見通して立てた目標は強い。それが小さな目標だとしても、それがどこに繋がっているか意識できていると、違う。

もしもやらなきゃいけないことが多くても、先の先の、そのまた先まで見えていたら、一つ一つのことがすごく楽しいだろうなと思う。


もう来てから2ヶ月。明日で課題は一段落して、建築学生は一週間の休み。ストックホルムとヴェネチアを見てきます。楽しみ。

それでは、帰ったらまた。

2010/10/15

幸せになれそうな手摺

先週末、行こう行こうと思ってなかなか行かずにいたアアルトの自邸を見学してきました。ヘルシンキ市内の住宅街に建っています。


Home of Alvar Aalto, 1935-1936



昼過ぎに行ったのですが、見学者は自分一人でした。じっくり堪能できてよかったです。


見所はいろいろとあったのですが、中でも階段の木製の手すりがえらく気に入りました!


この手すり、見た目の期待を裏切らずとても柔らかな触り心地をしています。
手すりを支える部材もとても愛らしい形。長年使い込まれた風合いを醸し出しています。



白い壁に、すっと伸びるたたずまいもとてもきれい。



とてもいい。こんな手すりが家にあったら、毎日階段を上るのが楽しくなりそうです。

毎日通る階段だからこそ、上り下りするたびにうきうきする、それが何十年と積み重なったら人生何倍も楽しくなるだろうなぁ、と思います。
それはさすがに言い過ぎかもしれませんが(笑)。普段手摺なんてあんまり意識しないだろうけど、無意識のうちに心を豊かにするであろう手すり。案外住宅のこういう細かい部分が、目立たないけどしっかり住む人を幸せにしているのかなーと最近思っています。



手すりの絵葉書が売っていたので、買ってベッドの横の壁に貼った。
どこか行くたびにこうして絵葉書を買って壁に貼っていく。帰る頃、どんな壁になってるかな。

2010/10/12

利き木


昨日は空が青すぎてびっくりした。ほんと吸い込まれそうな青さ。南から高度の低い太陽が強烈に照りつけていました。太陽の方を向くと前が見えないほど。でも不思議と目に痛くないフィンの太陽。

最近はテストや課題発表が近くなってきました。

とっている授業の一つに木材の性質を学ぶ授業があるのですが、その授業の中で、どの木材が何の木かを判別するというおもしろい課題があります。利き酒ならぬ利き木テスト。重さや色、断面の特徴などを頼りにいろんな種類の木材を判別するのですが、やっていておもしろい。

用意された木材は全部で17種類。

カラマツ。


シラカバ。


これは…。あ…トネリコ。


そして我らがサクラ!

などなど。じっくりと表面を見ていると、道管の有無や分布の仕方とかも確かに木によって違うのが分かります。最初は全く分からなかったけど、観察しているうちにだんだんと分かるようになってきました。


ちなみにこれはお気に入りのネズの木。なめらかでとてもよい触り心地をしている。

木を手に持って、手触り・重さを味わいながら特徴を覚えていくのは楽しい。でもまだまだだ。あと一週間あるから、それまでになんとか判別できるようになりたい。



木と向き合ったあとで外に出てみると、なんだか景色を見る目も変わり、いろんな木が植わっているなーと思います。足下を見てもいろんな形の葉が落ちている。木の表面もいろんなのがあるね。木の葉がたてる風の音にも、なんだかいろんな木の音が含まれているような気がしました。

ふぅ。空気が冷たい。だんだんと寒くなってきた!

2010/10/10

Morning Relay


- 朝のリレー  谷川俊太郎 -

カムチャツカの若者が

きりんの夢を見ているとき

メキシコの娘は

朝もやの中でバスを待っている

ニューヨークの少女が

ほほえみながら寝がえりをうつとき

ローマの少年は

柱頭を染める朝陽にウインクする

この地球では

いつもどこかで朝がはじまっている

ぼくらは朝をリレーするのだ

経度から経度へと

そうしていわば交替で地球を守る

眠る前のひととき耳をすますと

どこか遠くで目覚時計のベルが鳴ってる

それはあなたの送った朝を

誰かがしっかりと受けとめた証拠なのだ


2010/10/08

コンサート@Finlandia-Talo

オケ&建築の先輩が遊びに来ていたので、一緒にフィンランディアホールに演奏会を聴きに行ってきました。

フィンランディアホールはフィンランドの建築家・アアルト晩年の作品。海を目の前に建つ美しい白亜のホール。
アアルトは白がとても好きだったようで、このホールも外壁や内装材の多くに大理石が使われており、白いです。
個人的に、白は光の微妙な色の変化や表情を無垢のまま映し出してくれる色な気がしています。なので光を大切にするフィンランドにとても合っている色だと感じています。

ホールの中は白を基調にして、そこに深い青の椅子と壁の装飾。フィンランドの国旗と同じ色の組み合わせ、青い空青い海と白い雲白い雪、まさにフィンランドカラーです。


そんなホールで聴く本日の曲目はこちら。

Sebastian Farerlund: Ignite
Jean Sibelius: Symphony No. 6
Jean Sibelius: Symphony No. 7

Finnish Radio Symphony Orchestra
Sakari Oramo, conductor

シベ6とシベ7はこの間(こちら)シベリウスフェスティバルで聞いたばかりだったので、その時の演奏との違いが楽しみなところでした。

コンサートホールとしての音響はあまりよくないホールで、少し音が薄い感じがしましたが、シベ7は今まで聴いた中で一番感動したかも。ビブラートをほとんどかけない演奏で、どこか角のとれた、やわらかい感じのするシベリウスでした。それでいて強弱の変わり目がとても強調されていて、いきなりピアニッシモに変わるところなんか、はっとなるような緊張感も持った演奏。

そして満を持して出てくる、光が差してくるかようなトロンボーンの主題。

美しい。これは美しいよぅ。。。

完全にシベ7にハマりました(笑)

帰って、さっそくiTunesでこの指揮者のシベ7を探して購入してしまいました。
でも今日聴いたのとはとちょっと違ったかな。


シベリウスを聴くと、いつもいろんな自然の風景が思い浮かぶのですが、音を聴いて、あるイメージが頭に浮かぶのって、よく考えてみると不思議です。音楽と風景に、どんな共通点があるというのだろう?

不思議。

演奏者側の表現やこだわりの違いが、聴く人にあるイメージを思い浮かばせるかもしれないし、浮かばせないかもしれない。ほんとうにちょっとしたことだったりするんだけど、それでだいぶ変わってきます。自分も一応ビオラ弾き、演奏する側として、もうちょっと音にこだわろうと思いました。

ともかく、シベ7に惚れ込んだ夜だった!

2010/10/04

夜明けの音

朝7時。起きたら、窓の外が明るんできているのが見えた。
これはきれいな日の出が見られるに違いないと思って海沿いの道に下りると、
ちょうど東から太陽が昇ってくるところだった。

風の音。

空を渡る鳥の声。

木々の音。

桟橋のきしむ音。

波の音。

葦の揺れる音。











遠くで、車の走り出す音。

自分の歩く音。

いろんなものの、命を持ち始める音に聞こえた。

2010/10/01

夜の散歩

プレゼン準備の合間に、夜の散歩。星がきれいで、月の横に飛行機雲がでていた。



「もう一生こんなとこに座って、こんなアングルで、こんな景色ながめることないんだな。」
恩田陸『夜のピクニック』より

というセリフを思い出しました。